3.別紙3の各記述部分
(1)甲第1ないし第3号証によれば、別紙3の1の記述部分は、原告の92年度8月期の経常利益が前期比28パーセント減となる見込みであるとする平成4年4月22日付日本経済新聞朝刊(乙第324号証)の記事を掲げ、原告の業績予想に関する右記事について論じているものでるが、一般読者の読み方を基準とすれぱ、右記述部分は、8月決算期の会社である原告の業績予測が4月時点で新聞発表されたことについて、何らかの意味があるのではないかと憶測し、結論としては、原告からディストリビューターに対する販売促進を促すメッセージなのではないかとの見解を述べているものであり、表現がやや不適切であるものの、業績に関して発表された新聞記事に基づいてなされた一般的にも許容されうる論評といえるから、右記述部分により、原告の社会的信用や名誉が低下させられたと認めることは困難である。

(2)甲第2号証によれば、別紙3の。ないし。の記述部分は、1原告1992年度(平成4年度)の決算内容に関する記述であり、そこでは、1988年度(昭和63年度)から1992年度(平成4年度)までの5年問における原告の売上高、経常利益およぴ当期利益を比較し、92年度の売上高は、前年比0.2パーセントと微増ではあるものの、経常利益及び当期利益は、それぞれ前年比22.7パーセント、12.4パーセントの減少となっているとの事実を指摘したうえで、その原因及び原告の今後の業績予想、これに関連して、原告デイストリビューター数の推移などについて、原告の商法への批判をまじえて論じられているものと認められる。そして、右各記述部分は、客観的な資料(甲第37ないし39、43の3号証)に基づく適正な批評であり、表現自体にも特別不適切な部分は認められず、正当な言論の範囲といえるから、右各記述部分により、原告の社会的信用、名誉が低下したものとは認められない。

(3)また、別紙3の5及び6の各記述部分は、それぞれ本件書籍(3)(甲第3号証)の1章見出し部分及び1章中の小見出し部分であり、右各記述部分は、原告が発表した93年度8月期の決算予測が上方修正されているものの、利益についてはいずれも前年比マイナスであるとの事実を示したうえ、それは原告にとって「深刻な事態」であるとの内容を見出しとして表示したものに他ならないのであり、いずれも通常許される範囲の一般的な論評であり、その表現が適正を欠くものとは認められないから、右各記述部分により原告の社会的評価及び名誉が低下させられたとはいえない。

(4)したがって、別紙3の1ないし6の各記述部分は、いずれも原告の社会的信用及び名誉を低下させるものとは認められないから、名誉毀損を構成しないというべきである。